声帯除去の手術のため、この日は筆談で番組に登場されたつんく♂さん。
番組MCの鈴木愛理さんの師でもある。
この回で特に興味深かったのは、歌の時の言葉の発音、発声法だ。
若い女の子の歌を手がけられていたせいか、1小節を16ビートに刻んで躍動感を出すため、発音も工夫していたのだ。また、大人数でで縦のリズムを合わせ易くなるから とも。これに、つんく♂さんは「突っ込まない為」という表現をされていた。
具体的には、頭の言葉に小さい「ん」を付ける とか、「を」を「ぅお」、「わ」を「ぅわ」のようにする。(例、、太陽→たいようぉ)
後は、語尾をしゃくるとか。
意図的に。
考えてみれば、演歌などでも同じ技法があるような気がする。
そして、16ビートを刻むことはダンスにも大切なリズム感だという。
先日の金ロー『すずめの戸締まり』を見た後、深く感じ入って色々と調べていたら、「天の岩戸の前で‘アメノウズメノミコト’が舞った踊りは、一種のトランス状態になる16ビートだったと言われる」との記述に出くわした!(以後、このビートは各地の祭りの踊りなどに継承されている。)
天照大神が覗きたくなるほどのダンスは、現代の若い女子達によって、多くの人々を魅了するダンスに繋がっているのかな?と思った。
私ごとになるが小学校低学年の頃、キングレコード専属の童謡歌手としてレコーディングなどをしていて、以来、歌や音楽には何かと携わってきたために、こういうことには敏感だ。また、母の影響から箏・三絃を弾いていたので、一時期、古典の発声も研究したことがある。母の友人で特にこの界隈に詳しい方(Tさん)から、歌舞伎の発声について面白い話を聞いたことがあった。
例えば、「母様(ははさま)」という発声は、敢えて「はわさま」のように言うという。歌舞伎座や演舞場のホールの残響などを考慮すると、そう言わなければ、「母」に聞こえづらいとのこと。これは、そもそも古典の発声法上のことなので、現代演劇等の一般の場合とは違うとは思うが、、
古典の世界も、実はそのようなこと(秘伝!?)があまねく伝承されてきたとは限らず、今の若い歌舞伎役者さんがそうされているかどうかは知らない。
Tさんから習った三絃の技法にしても、そもそも演奏人口が少ない邦楽の世界のために伝わり切ってなく、世間では我流の方が席巻している ということもあるようですよ!伝統の継承と革新というのは、また違った議論になるねw
洋楽にしても邦楽にしても、エンタメとしてより効果的に魅せる方法を、一流の目利き鼻利きのような人は、知識としても感覚的としても判っているのだ ということをあらためて感じた今回の特集だった。