推しのアニメ「ルパン三世」が歌舞伎になるとあって、観劇の日を楽しみに待った。
これまでに古典歌舞伎は見たことがあるが、「新作歌舞伎」なるものは初めてだ。意外にも(と言っては語弊があるが)筋書きや演出が本格的で、もっと単純なものだろうという勝手なイメージがあったが、これをいい意味で裏切られたのだった!なので、初めての人から歌舞伎通の人まで、知識的背景がさまざまでも、それぞれのレベルで楽しめると思った。
私的には、「ルパン」の知識はもとより、小さい時から箏三絃に触れていて古典芸術に親しんできたので、重層的に楽しめて大変感激した♡
まずは、主演、ルパン三世役の片岡愛之助さん
五ヱ門との対決シーンで、舞台で滝や水(本水)を使うことを、愛之助さん自ら所望したという話を事前に聞き、この舞台に対する熱意と覚悟のほどを感じていた。切り拓くルパンの気質にも相通じて、愛之助さんは、舞台で演じるルパンの勇姿のみならず、どこまでも適役だなあと確信したものだ。
チャーミングで華があって、舞台をグイグイ引っ張った♡
五ヱ門役の尾上松也さん
「浜の真砂(まさご)は尽くるとも よに盗人の種は突くまじ」
そもそも、石川五右衛門と歌舞伎といえば、十八番「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」でも有名で、縁が深い。「絶景かな 絶景かな」などの数々の名セリフを、松也さんが見栄切ってカッコよく演じてくれた♡ ここは歌舞伎ファンには是非とも欲しいシーンなのだ。これを「新作」でも、もれなく見られて、ラッキー!衣装の青の発色も、いいね。
次元大介役の市川笑三郎さん
この方は普段、歌舞伎では女形ということを、私は逆に初めて知った。それ位、男の中の男、次元の渋さをよく演じてくれた。安土桃山時代の設定ということで、次元ならでは、刀ではなく銃を手にして次元らしさ満開だ。
ルパン五ヱ門対決を「俺が預かる」と、次元の銃で終わらせたところは痺れたね♡
不二子役の市川笑也さん
艶やかな衣装を纏い、ルパンやヴィランの唐句麗屋(カラクリや)を手のひらで転がす不二子っぽさを、上手く演じて舞台を華やげる。そして、美しい♡
銭形役の市川中車さん
アク強く、でも一徹ものでちょっとコミカルなこの役に、なんだかピッタリだ。メイクしているとはいえ、お顔つきまでねw 褒めてるのよ!
そもそも銭形は銭形平次由来なだけに、時代物の衣装にもマッチする。
こう考えると、五ヱ門共々、「ルパン三世」って歌舞伎の演目にしても、案外馴染みがいいんだね。
長須役を演じた若手の中村鷹之資さんの上手さにも将来性を感じたし、花道でお2人で演じられた義太夫にも聞き惚れた。他にも全部書き切れないのが残念なほど、様々な演者さん達が好演された♡
また、ルパンファンにとっても、大野雄二さんのルパン音楽の数々が、邦楽とのコラボで流れ出すとワクワクした。そして、人気のあのマモーまで「萬望軒」の名で解説サービスをしてくれたり、ルパンの変装はもちろん、牢名主とルパンは盗人同士顔馴染み などのルパンあるある、「またつまらぬものを切ってしまった」などの名セリフもふんだんに取り入れてくれて、ルパン風味をたっぷり味わえた♡
ルパンはじめ、キャラそれぞれにふさわしい細部までこだわった豪華衣装にも魅せられ、背景セットや最後までかぶく総合演出にも、歌舞伎味&ルパン味を良く研究し織り込んでくれていて面白かった。
脚本は、「ルパン三世」をリスペクトしつつも古典歌舞伎に通ずる深みもあり、双方が呼応し合って感心した。ラストの白浪5人衆揃い踏みでの各口上と、ちなんだこの時の衣装もまた圧巻だった。
好評とあり、早速追加公演まであるというが、追加どころか以後も続く定番の新作歌舞伎となる予感がしている、、
大満足で新橋演舞場を後にした♡