吉本興業元会長の大﨑氏(以下O氏)の著した「居場所。」の中の、ダウンタウンのお2人「松本の奥まで見抜く眼」「浜田の失踪事件」等の抜粋記事を、ネットで興味深く読んだ。昔、O氏はお2人のマネージャーだったことをそこで初めて知る。それまでは、氏は組織のトップまで登り詰めた人だし、「会社の中ではエリート街道の怖いやり手」という勝手なイメージしかなかった。
でも、マネージャーの過去があるとなると、ちょっと違う?!
私は会社員時代、秘書もどきのような仕事も兼務し、これが割に性に合っていたと自負しており、そういう「何でも屋」には勝手にシンパシーがあるのだ!
というわけで、早速この本を取り寄せてみた。
O氏は、ダウンタウン付きになる前の駆け出し時代、一渡り、東京の芸能界でのノウハウを体当たりで学ぶ経験を積む。やっかみなども受けつつ、流れ流れて、大阪NSCで若き日のダウンタウンと遭遇するのだった。即経験を活かし、彼らを売り出すため仕掛けたり奔走したりというその中身は、(勤めていた頃の自分とは遥かに次元が違って)壮絶だった!
方々へ何度も頭を下げ、謝り、、その仕事はもう、「体を張る」という言葉が一番合う印象を受ける。
ダウンタウンの東京進出の際、男の嫉妬からO氏は大阪に残る辞令が出て引き離される。これに松本さんは「最低や」、浜田さんは「聞いてへん」と憤る。この時そんな一幕があったとは。何故?社を挙げても目出度い事のはずなのに、、。憤ってくれるのを見てO氏は逆に腹が決まり、「言うこと聞くんやで」と2人を送り出す。ここは、母親が独り立ちする子供に万感の思いを託して言うセリフのようにも聞こえ、こちらの目にも涙が滲んでしまった。
気配りが仕事でもあるマネージャーをされていたことへの親近感 という壮大な勘違いから引き寄せたこの本とのご縁だが、でもやはり、氏の語ることとの共通点も多々あった。
「毎日の生活の中でおもしろがることが大切。たった一人で“夢見る力”が大事(P114)」という説は、私は今、多少実践できてるような気がするし、実際、それは楽しい!
また、「僕に対する誤解は、闘う価値すらない(P253)」は、規模こそ大きく違うものの私も同じ経験があり、その時、やはり同じ思い、同じ対処法で心を収めた。今、O氏からお墨付きをもらい、答え合わせができた感じがして嬉しいw
若者の「効率派」と「ぼんやり派」の二極化の話も身につまされた。私自身も、育児中、「今、世の中は、“遅咲き”の子の方が生きづらい社会になりつつある」と聞かされていたからだ。
吉本の若手、さらにご子息も含め、たくさんの後輩達が壁や山にぶつかるのを氏は間近に見てきて、ご自分の人生のあれこれを吐露し、思うことを記すことで少しでも役に立てないかと思う優しさが、この本のあちこちからほとばしり出ていた。O氏には、母性すら感じさせる繊細な一面が見える♡
今では押しも押されもせぬお立場のO氏と天才ダウンタウンのお2人が、スタートは、社の内外にまさかの居場所が「ない」状況だったことをまず知らされ、意表をつかれて読み始めたこの本。
実は、タイトル「居場所。」のこの句点は何だろうという答えを、自分なりに見つけようという野心ももって読み進めていた!
「居場所。」の「。」には、比喩で、「吉本は “悪場所” でもあるのだ」と誇りと決意を込めて言い切る、、そんな大﨑氏の宣言と同時に、そこでほっと一息ついてみたら?、、という優しさも込められているのではないか?
読み終えて、私は、そう類推している。