Eテレのショート番組「名曲アルバム」で、ハイドン作曲、交響曲『告別』を聞いた。音楽、映像、解説、、上質な3点セットが楽しめるこの小さな番組は、お気に入りだ。
この曲が出来るエピソードを聞き、とても似たものを思ったので、それが今日のテーマ。
18世紀、宮廷楽長ハイドンと宮廷楽団員達は、貴族エステルハージ家のハンガリーの離宮で演奏する。音楽愛好家ニコラウス・エステルハージ侯は、彼らののハンガリー滞在を少しでも長く引き留めようとした。
ウィーン出身のハイドンは、やはり故郷に戻りたいという楽団員達の声を聞き、「演奏中、一人ずつお辞儀をして去っていく」という工夫を入れた曲を作り、それを披露。
ニコラウスはその心を聞き入れてくれた♡
「名曲アルバム」の解説から、『告別』と言う曲の成立をざっと紹介してみた。
祖国への思いから一人ずつ減って行く、、というのを聞いて、私は、映画『サウンド オブ ミュージック』の中の「さよなら、ごきげんよう」を思い出した。
第二次世界大戦下、ナチスドイツに占領されたオーストリア。
(以下、映画での描かれ方をもとに語る)
オーストリアのトラップ大佐は抵抗して、一家を率いてアルプスを越え、国外脱出をする。
その直前、屋外コンクールで歌われるのは、『ドレミの歌』、祖国を愛する『エーデルワイス』と『さよなら、ごきげんよう』。
最後の曲の原題は、” So Long , Farewell “
この曲でトラップファミリーは、歌いながら子供達が数名ずつ舞台から去って行く。
少し前にトラップ家の大広間の階段で来客達にこれを披露した時は、歌いながら子供達が一人ずつ寝室へと消えていくのだった。
児童合唱団に所属していた時、一番小さな女の子の役を舞台で演じていたので、これは特段思い入れの強い曲だが、子供ながらに、この演出は面白いなあと思ったものだ。
旧オーストリア・ハンガリー帝国の地で、奇しくもハイドン作曲の『告別』とシンクロするような曲がもう一つできたなんてね!
後に出来た『サウンド オブ ミュージック』の方が、そのことも踏まえて、この曲を作り、演出したのかな?とまで思ってしまう!
違っていたとしても、それはそれで、この転写は不思議だと思う♡
他に、クラシック音楽に『モルダウ』や『アランフェス協奏曲』『パガニーニの主題による狂詩曲』(これらは「クラシックTV 」プレイリストより)など、祖国を思って作られた曲はたくさんある。
余談だが、長らくハンガリーに滞在したハイドンの晩年は、故郷ウィーンへ戻り、彼の死後2年後に生まれた音楽家リストは、ウィーンで活躍し晩年は故郷ハンガリーのブダペストへ戻った。
両者はちょうど逆方向なれど、晩年は故郷へ戻っているところは同じだった。
きっと多くの人の心に、故郷への思いは深くある。