漫画、「火の鳥」(手塚治虫)は、黎明編からギリシャ・ローマ編まで全12巻。
ここで登場する「火の鳥」は、その生き血を飲んで不死身になりたい人々からいつも狙われる。だが、火の鳥は3000年間不死身で、最期の時は自ら火に焼けたのち復活する 或いは、親鳥が火に包まれて死んだ後、その力を子に繋いでいくと紹介されている。
なので、3000年の間は、たとえ矢が幾つも刺さっても死なないのだ。
「火の鳥」乱世編(平安末期〜鎌倉期)の作中に紹介されている火焔鳥なども火の鳥と共通していて、世界各地で異なる呼び名ということになっている。
この発想で思い出されるのは、まず、ハリポタに出てくるフェニックス(不死鳥)だ。ホグワーツにあるダンブルドアの校長室で飼われていて、フェニックスは校長の守護霊にもなっているところが、さすがと言おうか何と言おうか!死を恐れないダンブルドアだからこその不死鳥の取り合わせが、シャレている。校長室でハリーの目の前でフェニックスが生まれ変わるシーンは神秘的だ。校長が命を落とした時、二君に見えずと言わんばかりに、湖を渡って去っていったラストシーンには泣けたね。
前回開催のサッカー・ロシアワールドカップの時、オープニング映像のアニメで、火の鳥が出てきたのが印象的だったが、あれも、ロシアの作曲家ストラヴィンスキーが曲にもしている、土地の伝説にまつわる「火の鳥」なのだ。
不死身への憧れからか、世界中にこのような伝説上の鳥がいるんだね。なぜか、多くが「火」と関係している。これは、自分の今後の課題になりそうだw
手塚版「火の鳥」全12巻の中には、色々なテーゼが盛り込まれている。
何度も繰り返されて印象的なものの一つは「火の鳥」にまつわる死生観で、火の鳥や長老が投げかける問いは、
「で、不死身の身体を手に入れてどうするの?」
というもの。そしてその回答は、
「むしろ、どう生きるかが大切でしょう?」
となる。
この発想は、(以前このブログで綴ったが)かつて駿台(世界史)の大岡先生が「(動機や結果よりむしろ) プロセスが大事」とおっしゃった言葉と通じていて、いずれも大切なことだと感じている。