「アラベスク」(山岸涼子作)は、小学生の頃に読み込んだバレエ漫画。
ヒロイン、ノンナ・ペトロワが舞台デビューで演じた役は、「夏の夜の夢」の森の妖精、パック。漫画単行本の第1部第1巻の表紙は、このパックの衣装として植物で出来た髪飾りをつけたノンナの顔がアップになったもの♡
愛読者には最も印象深いショットなのだ!
「アラベスク」のお陰で、「夏の夜の夢」のこのシーンはなんとなく知ってはいたが、それっきり数十年。ちょうど今年、サッカー・ユーロ‘24でイングランドを追いかけていたこの時期、なぜか、読んでみなきゃ!と思い立ち、シェークスピア「夏の夜の夢」の文庫本を取り寄せてみた、、
「夏の夜の夢」は、夏至の夜の頃の話である。
原題 “ mid summer “ が表すのは夏至であり、それは「狂気」でもある!
妖精パックは、森の妖精の王オーベロンの命を受け、恋人達に惚れ薬を撒いていく。夏至の頃に採集した(惚れ薬の原料となる)植物は、特別な薬効があるという。
クラシック音楽にも題材となっていて、有名な「結婚行進曲」が含まれる「夏の夜の夢」(作曲 メンデルスゾーン)の内、「スケルツォ」という間奏曲は妖精パックが登場するシーンだ。如何にも楽しそうに動き回るパックを思わせるラブリーな曲♡
季節だからか、先日のEテレ「クラシック音楽館」で、ちょうど放送していて、ファビオ・ルイージさんの気品ある繊細な指揮によって、魅惑的な世界に誘われた。
小説「ハリーポッター」でよく登場する「惚れ薬」(アモルテンシア)は、やはり、材料の一部が植物由来である。
「謎のプリンス」でスラグホーン先生が煎じていたこの薬は、蠱惑(こわく)的で、糖蜜パイや箒の柄のウッディな匂い 〜 花のような芳香がした とある。
ハーマイオニーは「愛の妙薬」とも表現していたが、ちょうど同名の喜劇オペラ(ドニゼッティ作曲)があり、そのまた元になったのは、悲劇「トリスタンとイゾルデ」、、さらにアーサー王物語も通過して、古くはケルトの説話にまで辿り着くのだ!
「愛の妙薬」を辿ると、どんどんと古く遡ることができる。
ハリポタの惚れ薬はシェークスピア由来なのかな と思ったら、そんな浅い年数ではなかった‼︎
太古の昔から、植物由来の「惚れ薬」というのは存在していたし、人の世のある限り、「必需品」だったのかも知れないねww
「惚れ薬」や、それを駆使する 植物の妖精パック。
これらにはどうやら、クラシック音楽、バレエ、絵画、漫画、小説、、と、アーティスト達に創作意欲を掻き立てる魔法があるらしい♡
そして不思議なことに、私が「夏の夜の夢」の本の注文をポチったのは、不思議にも夏至の夜だったw
妖精パックが、いたずら心一杯に、私の指に魔法をかけたのかもしれないな‼︎