以前、ハリーポッターに出てくる数字の「7」の秘密(魔法)について語ったことがある。古くから西洋では7という数字に魔力があるという話だ。この度、地唄舞『古道成寺』の歌詞の中に、「七」が2度ほど出てきた。この作品に接し、東洋の「七」について思ったことを今日は書き進める。
まずは歌詞の前半で、清姫の帯が「七巻」するというところ。
日本の和歌や歌詞などで ‘ 帯と数字 ‘ が出てきた時は、登場人物(女性)の心身の変化を表す暗示になっている。例えば、「二重の帯が三重回る」という表現は、恋やつれで痩せてしまい、帯を巻く回数が増えたという比喩だ。和歌に嗜みのあった作詞家、星野哲郎さんは、美空ひばりさんの歌う『みだれ髪』の中でこの表現を用いた。それは万葉集の大伴家持の歌から引いてきた。
一方、古道成寺の清姫を表すこの部分の地唄の歌詞には、高まる臨場感がある。帯の巻く回数を数え上げて、七で止めるのだ!
♪ 縒(よ)れつ 縺(もつ)れつ 常陸帯
二重回れば 三重 四重 五重(いつえ)
七巻まいて 離ちはせじと 引き結ぶ♪
安珍に対する清姫の情念が幾重にも重なっていく様を、表している。
そして、物語のクライマックス。
大蛇となった清姫から、安珍が逃げて入った道成寺の鐘。これを怪しいと見た(この時は大蛇になっているので、嗅覚も鋭い!)大蛇清姫は、、
♪ 尋ねかねつつ怨霊は
鐘の下りしを怪しみ
龍頭を銜へ(くわえ) 七巻まいて
尾をもって敲(たた)けば
鐘はすなはち湯となって
遂に山伏(=安珍)取り終えん ♪
となるのであった。
清姫の帯の七巻と大蛇の胴体の七巻
どちらも「念」がこもった表現を、数字の「七」でも表している。
六や八でもないのが不思議だ!
なお、本作演者の清姫役・吉村古ゆうさんと、安珍役・山村友五郎さんはそれぞれ、人だけでなく、人形ぶりや異世界の生物、また川、木、鐘、、などと、まさしく「七変化」を見事に演じ分けた♡ そして、唄と三絃の菊央雄司さん、箏の岡村秀太郎さんが、情味と品ある演奏をつけ、相まって惹き込まれる作品なった。
古道成寺の歌詞中の七は少しおどろおどろしかったが、東洋の七には他に、「七福神」などのラッキーな含意もあるようなので、ご安心を!
ただ、私の感触では、洋の東西にかかわらず、7には特別に不思議な霊力があるように思われたが、どうだろう!?