苦節22年。
アーセナルは、前回の優勝から時を経ること22年、今季(25/26)プレミアリーグ(PL)の優勝を果たし、歓喜に沸いた。
最近ここにupした サントリーウイスキー「響」についての文を書く際、ブラームスにまつわるあれこれを調べていたら、交響曲第1番はブラームスが作曲を試み始めた時から完成まで、20年以上の歳月を要していたことがわかった。だいぶ長いことかかったとは知っていたが、この度、時同じくしてその数がアーセナルのそれと酷似していたので、不思議なシンクロを感じた、、
ブラームスはベートーヴェンを尊敬し、作曲の技法も理想とした。シューマンからは「ベートーヴェンの後継者」との好評価を受け、ブラームスは二十歳そこそこから以来、重圧を感じ続けるが、「ベートーヴェンの『第九』に続く交響曲を作る」という意思のもと、彼のプロセスに倣って、「その前には『弦楽四重奏曲』の作曲だ!」と、納得のいくまで取り組んでいく。
結果、交響曲完成までにかなりの年月を要することになった。
さて、これを踏まえてアーセナルの歩みを見てみると、前回優勝の22年前からのち、チーム状況は低迷。優勝など夢のまた夢という中で、現監督のアルテタが就任した。かれこれ今から7年前になる。
アルテタは、ブラームス同様若くしてプレミアリーグの最年少監督(当時)に就任。若い分だけ尚更大きい内外の圧力に耐えた力は、尋常ではない。
このように、特にアルテタ監督とブラームスがシンクロする部分は何かと多い!そんな中、哲学者とも言われるアルテタは、コツコツと丁寧に理想のチームを構築していった。
ブラームスが弦楽四重奏曲に着手した如く、アルテタはまず、盤石なディフェンス(DF)の構築に取り掛かる。それを担うのは、今や稀代のDFとも言えるガブリエウとサリバ。この間、日本の冨安選手もDFとして大いに貢献した♡ 彼は残念ながら怪我でクラブを離脱したが、忘れてはならない優勝貢献者の1人であり、ここで記しておきたい。
こうして「守備オタク」の異名を持つアルテタ監督は、それを基盤に甲斐あって、近年はプレミアリーグ2位を連続で取るに至る。だがそれは、あくまでプレミア首位を目指す準備段階だった。そして、いよいよ正念場とも言える今季25/26シーズン、この偉大なる交響曲は完成した♡
一方で、果たしてブラームスが40歳過ぎて完成した交響曲第1番。
第1楽章の序奏部分は、とても深く重厚味がある。
私はかつてこの部分について「キリストが自ら磔になる十字架を背負い、ゴルゴタの丘に向かう姿を連想する」とこのブログに書いたことがある。
先のEテレ「クラシックTV」ブラームス特集ではゲストの六角精児さんが、(ティンパニーの連続音を背景に)「何か彷徨っている感じがする」と表現された。音楽から受ける印象は人それぞれだが、そうも聞こえるな と思う。
そして、この序奏部分をアルテタ監督に重ね合わせれば、就任から今に至るまでの苦悩を、音で味わうこともできるのだ!もちろん、キャプテン ウーデゴールやサカ 他、チーム作りに共に長く尽力してきた選手たちや、近年、ライス他 新たな選手達の補強も叶い、スタッフも皆で一歩一歩積み重ねてきた。
第2第3楽章の調べは、その時々の苦楽にシンクロする。
そして最終章の第4楽章。
冒頭の短調の響きは、声楽家の車田和寿さんの解説によれば、「抑圧された希望」。このモチーフは後で長調に反転され、ベートーヴェンの『第九』がそうであるように「苦悩から歓喜」へと、美しいメロディーに昇華していくのであった。
苦悩があったればこその歓喜。
ファンファーレから最終部では、それを高らかに歌い上げる。
アーセナルが好きで音楽も好きな方なら、この曲を22年のアーセナルの歩みに重ねて聞かれることを是非オススメする。短くならば、第1 & 第4楽章だけでも。
もちろん、一喜一憂しながら見守って来たグーナー自身にこれを重ねてみても、あの時の自分、この時の自分と追体験ができる。グーナー歴が長いなら長い分だけより一層、感動が増すのは特権であろう♡
身に沁みること請け合いだ!
だが、アーセナルはリーグ優勝の後、もう一つの念願であるCL優勝の方は、120分の試合、互角の1−1で決着つかず、、運要素の強いPK戦で惜敗、準優勝となった。理想のチーム構築には、正確にはあと少し時を要するのかもしれない。
でも彼らならやれる!
アーセナルは止まることない進化を目指し、新たなるコンセプトで、交響曲第2番を既に紡ぎ始めている ♡