英小説家、ジェフリー・アーチャーの作品は好きでいくつか読んでいるが、中でも気に入っているのが『ロスノフスキ家の娘』。これは、ヒット作『ケインとアベル』それぞれの息子、娘編とでも言おうか。ヒロインの美しく聡明なフロレンティナ(アベルの一人娘)がとても魅力的だ。本作について過去に①②でそれぞれ語ってからだいぶ時が経ってしまったが、今日のテーマ③は、私的には一番思い入れが強いw
家では女子の育児こそなかったものの、そこに自分を重ねてみたり、、!
フロレンティナの父アベルは妻と離婚し、娘の教育やその他を任せられる人を探していた。一代で財を成した手腕のあるそんなアベルが「家庭教師を雇うなら英国人」と決めていた!
イギリスからミス トレッドゴールド(以下、T先生)という家庭教師を探し出し、住まいのアメリカへと住み込みで呼び寄せた。
作中では父アベルでさえ、厳格なT先生に全幅の信頼を寄せ、一目置いていたのである!
〈以下、ネタバレ注意〉
フロレンティナはその家庭教師の心からの優れた指導の甲斐あり、立派な人物に成長し、最後は女性初の大統領になるという筋書きなのだが、作者J ・アーチャー氏自身、英国下院議員としての経歴を持つことから、作品ではその辺りも事情通である。
それに、娘の教育に関するアベルの考え( → T先生のそれでもある)は、作家アーチャー氏の理想であると私は解釈している。作中でのフロレンティナに対する作家の色々な施しが、とても丁寧でロマンさえ感じるのでね!
さて、T先生の数々の教えで一番印象深いのは、「人前で泣くな」ということ。よく’ 女の涙 ‘ を武器にする というあざとさは女性の中ではままあることだがw、T先生はあくまで全て、’ 正攻法 ‘ の教育を彼女に授けたのだ。
「いざという時、涙に逃げない」、、そういう教育を、雇い主のアベルも期待していただろう!
確かフロレンティナがハイスクール卒業間近のある日、長年、彼女の無二の友だった飼い犬が、こともあろうに父アベルの車に轢かれてしまう。この時も彼女は涙を必死に堪えるも、パパのアベルの方は「大声を上げて泣いた」「何故ならアベルはT先生の教育を受けていなかったから」、、と地の文で作者が書き添えた。
ここは、(たとえお金には不自由なくても)父子家庭における父アベルの心の揺らぎもあって、哀しくも印象深いシーンだった。が、ある意味、娘の自制心は大事業家の父のそれを凌いだことを示しており、それはT先生のお陰だった。
フロレンティナが大学進学で寮に入るため家を離れる歳頃となり、T先生は、「私が教えられることはこれで終わりました」と、イギリスに船で帰国することになった。別れの時、両者は「人前で泣かない」という教えを守り、フロレンティナは頑張って涙を堪えたところがまた流石だった。
一方、T先生は自分の船室に入ってから、さめざめと泣いた、、という記述があって、読む側の私はひととき止まって感じ入ったものだ。
大ヒットドラマ『VIVANT』でも、父ベキは、ことある毎に(最終回にまで!)後継のノコルに対して、「感情を表すな」と、よく注意していたのが印象深い。ノコルは怒りの感情をすぐ表出してしまうところが弱点でもあったので。
ベキのこの注意を聞くたびに、T先生と同じだな と感心していた。
少し裏話的なことを語ると、私が20代の頃、物知りの女性の先輩が、
「でもアーチャー自身は、イカしたモデル(→さぞ女の武器も使ったであろう!)とかを、次々とガールフレンドにしてたのよッ!」
と言っていたので、作者アーチャーも、まあ理想と現実は違っていたようではあるねww
頭じゃわかってるんだけど ってとこかな!?
さて、(この日本で!)育児の時にこんな正当な方法を、特に女子に授けても大丈夫かな? なんてむしろ心配もあったり、責任持って言えるかな? なんて思ったりもするが、それこそ男女を問わず社会で活躍する機会が増えるこれからの時代こそ、勇気ある人ならtryしてもいいのかもしれない。(自己責任でねw)
本作を読めばおわかりと思うが、フロレンティナみたいな人に育てば、それはそれはステキだし、カッコいいのよ♡