ルパン三世 & something

大好きなルパン三世、他、色々なことを気ままに綴ってます♡

断末魔の鬼気、、安田顕さんの平賀源内 from大河『べらぼう』

大河ドラマ『べらぼう』第16回、平賀源内役の安田顕さんによる鬼気迫る演技は、前回の松平武元役の石坂浩二さんに引き続き見応えがあり、その両者に濃く絡んだ田沼意次役の渡辺謙さんも含め、名優たちが織り成すこのところの迫真の熱演には、視聴後しばらく放心気味だ!


平賀源内は、その博覧を活かすには生まれる時代が早すぎたと言われる稀代の天才だ。文芸面でも才能が光る粋人だった。
源内は八方にアイディアマンで自由人でもあったので、江戸幕府の治世の枠には収まりきらなかったのだろう。
里見浩太朗さん演じる須原屋が心に沁みる語りで、奇しくも言っていたね。
「伝えていかなきゃなあ。どこにも収まらねえ男がいたってことをよぉ。」


ドラマの源内は、蔦重との飄々とした絡みの場面でも魅力を放っていた。エレキテルの静電気の場面で、蔦重の頭をポンポンたたくところが何ともリズミカルで、2人とも口舌は軽妙洒脱で江戸っ子風味があり、あそこは楽しかったなあ♡
また、源内と田沼意次が2人で、この国の夢を活き活きと語るシーンは感動的で印象に残る。


作中では、自らの策謀に陶酔したような生田斗真さんの演技も怖い(上手い)!
源内に仕組んだ幻覚剤入りタバコと、それを持ち込んだが口封じで消された大工、、悪の仕込みが用意周到過ぎて震える!
生田さん演じる一橋治済による田沼意次追い落としの遠大なる策略は、こうして周辺が次々と巻き込まれていき、権力界隈ならばさもありなん と思わせるえげつなさで、辛いながらも惹き込まれて見る。


図られた源内と意次は、互いを思いながらも相手に害が及ばぬように突き放し、心と裏腹な言葉を交わし合う。この緊迫のやり取りにはやるせなく、理不尽さにはやりきれなかった。そして牢での対面シーンは、かつて2人で描いた見果てぬ夢の結末には悲し過ぎた。
『べらぼう』のサブタイトル “ 蔦重栄華乃夢噺 “ 、、こちらの夢は儚く終わった。

源内が書き、かろうじて蔦重に渡されたたった一枚の下書きを回想で読み上げる安田顕さんの正確で聞き取り易い滑舌、それでいて粋な抑揚。その芸の高さには感心して舌を巻く!
そして、これはまるで意次への遺書みたいになって、意次のみならず視聴者をも泣かせた。

生き残っている意次に至っては、これから外向きには一層、 ‘非人情さ’ までをも纏わざるを得なくなった。これ以上、犠牲者が出ないため、墓場まで持っていかなければならない真実、、。
意次は、ここまで相当慎重に立ち振る舞って来たにもかかわらずジリジリと追いやられ、既に曲がり角を曲がってしまった感がある。辛い。


幻覚で朦朧とした意識の内に、追い詰められていく様を鬼気迫る演技で魅せた源内役の安田顕さん。源内の一連の明暗や強さ弱さを演じ分けるのは、駆け出しの役者さんには到底ムリなことでしょうね。
この度、安田顕さんのプロフィールをちょっと見てみたら、俳優のみならず、まるで源内みたいに色々な肩書きをお持ちの方なんですね。きっとこの役はご本人もしっくりと来て演じていて楽しく、役者冥利に尽きたことでしょう。

ありがとう。ヤスケンの源内、楽しかったです♡