クリスマスシーズンに向け少し前から、文庫本「クリスマス・キャロル」を味わいながら読み進めていた。
ビクトリア朝時代の英国人チャールズ・ディケンズによるこの本は、これ迄あらすじを知る程度だったが、なんとなく気にはなっていたのだ!
アーセナルを端緒としたイングリッシュ・プレミアリーグ、ハリポタ、etc、、自分の生活に今、英国の風がよく吹いていることも影響しているww
〈以下ネタバレあり〉
ロンドンの街ではクリスマスシーズンにはいつも、恵まれない人への寄附を募る。ケチな主人公スクルージは、当然まったく協力しない!
「救貧院や監獄が税金で運営されているだろう?税金を納めているのだから!」と言って。
欲深く非情なスクルージに対し、クリスマスに3人(3体?)の幽霊が気づきを与えていくことで、しまいにはスクルージはロンドンで一番の親切な紳士に変身する というステキな話だ。
本作には印象に残るシーンが沢山あるが、今日は中でも一番感動した点について書いていく。
意地悪なスクルージに対して、甥っ子のフレッドは毎年毎年上機嫌で根気強くクリスマスディナーに誘い続ける。
「は、は、は、は!」
甥っ子はいつも朗らかに笑う。作者ディケンズ曰く、笑いは周囲に伝染する♡
ロンドンっ子でスクルージを知る者は皆んなスクルージのことを嫌ったり苦手に思ったりする中で、この甥っ子だけはスクルージの中の奥底にあるかもしれない善意を信じ、生い立ちでひねくれてしまった気の毒な人なんだ と言って、彼の改心をトライし続けるのだった。彼は言う、
「僕はあの人に挑戦するんだ」
と。
この部分を読んだ時、感心と感動で唸る気持ちになった!
この人は、外見は笑いが絶えない柔らかな人なのだが、善に対して思うところには、このように芯は強く剛気なところがあり、とてもカッコいいのだ♡
3人の幽霊のお陰で生まれ変わったスクルージが、甥っ子の家のクリスマスパーティーを訪れた際の甥っ子の驚きと言ったら!
甥っ子は感動してスクルージの腕がもげそうなくらい揺すぶった という表現が、読者の感動も誘うのだ。
この結末は、甥っ子にとって勝利だった‼︎
作者ディケンズ自身、この好人物の甥っ子には惚れ込んでいて、多分ディケンズが目標とする人物像でさえあるだろう!
実際、地の文の中で「お近付きになりたい人」とまでディケンズは語っている。
本作はこの他にも、生まれつき足が不自由だがいつも周囲の幸せを願うティナ坊、又、スクルージの(元)恋人との別れの回顧シーン等々、一つ一つに深い意味があった。
それにしても、大人になってからは長い年月ケチであり続けたスクルージに対して、なぜにこんな救いが与えられたのか? を考えてみた。
この人を救い改心させたことで、(経済的にも身体的にも)直接助かった人々は多く、また、直接関係なくてもその変化が人々に教えた意義は深く、影響力は絶大だった。
そして、この小説に登場する善意の人々への賛美の意味も♡
なるほど、だからキャロルなんだね。
その辺を全部ひっくるめて、神様がスクルージに救いの手を差し伸べることにしたのかもしれない と思っている!
本作は大変示唆に富み教えられることが多く、私の座右の書の一つとなった。