ルパン三世 & something

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源実朝の復権/柿澤勇人さん from 「鎌倉殿の13人」

源実朝 ” と聞けば、あの忙しい勉強日本史の世界では、「鎌倉の八幡宮で、大いちょうの蔭から出てきた公暁により殺された源氏最後の将軍」くらいしか印象にない人だった。


実朝の残した数々の和歌からは、繊細な人柄が偲ばれる。

…世の中は常にもがもな渚漕ぐ あまの小舟の綱手かなしも

という、百人一首に選ばれた一首は、その名前が源実朝ではなく、
「鎌倉右大臣 (かまくらのうだいじん)」
と、あくまで京都から見た官職の呼び方になっているのが意味深だと思う。

聞けば実朝最期の年は、京都から数ヶ月ごとに次々と冠位昇格がなされたという。遂には(左大臣に次ぐ)右大臣の地位が授けられ、そのお礼詣りの折の落命 というのだから、鎌倉方(北条氏)を焚き付けた度重なるこの役職の授与は、実朝の死に大きく関わっているのだろう。


さらに、残された文献などから、実朝は和歌の素養だけでなく、大型船に着手するなどの進取の気性も読み取れて、柔剛兼ね備えた魅力的な人物だったことが見えてくる。
実朝の船の建造に関しては結果的に失政だったようだが、後の信長の楽市楽座坂本龍馬の海外貿易への着手などに先駆けた、経済的視野もある政治家だったのかも?と思う。本当のところは謎のままだ。

しかし、ドラマでも描かれる通り、京都と鎌倉、源氏と北条氏、義時と政子、入り繰る政争や思惑の狭間で、実朝みたいな人は次第にジャマな存在になってしまうのは皮肉な運命だった、、。


さて、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で “源実朝” 演じる柿澤勇人さんは、ミュージカル出身のステキな俳優さん。先日の「クラシックTV」では、みごとな歌声も披露した。
かつて見た、韓国の長編ドラマ「馬医」の主人公・ペク医官を演じる俳優さんは、当時、既にミュージカル界のスターで、その彼を敢えての起用だったと聞いており、声や笑顔の爽やかさと独特の華やかさに私は惹きつけられていた。
実朝役の柿澤さん起用は、その逸話を彷彿とさせる。
彼の品のある声と佇まいは、野生味あふれる鎌倉武士達の中で、ひときわ異色だった将軍にふさわしい。
「鎌倉殿〜」の配役は適材適所でつくづく感心する!

将軍の地位ながら優れた文人でもあった実朝に対しては、特に、脚本家三谷幸喜氏の強い思い入れが感じられる。作家、司馬遼太郎坂本龍馬を歴史から掘り起こしたように、この度、三谷氏は実朝を掘り起こしたような気がしている。
お陰でこちらは、実朝の実績や柿澤勇人さんという多彩な俳優さんを知ることができてありがたかった。

wikiで知ったが、少年の頃サッカー選手を夢見ていた柿澤さんは、今でも中田英寿さんに私淑しているという。同じくサッカーやヒデファンでもある私としては、その他にも邦楽などの背景も含めて、柿澤さんと色々共通していて、彼には今後ますます注目していこうと思っている♡


実朝だけでなく、鎌倉の地に散った畠山や和田などの御家人達を始め、連なる武士達は、三谷氏によって名誉の復権がなされ、皆んな天で喜んでいるのではないか?