アルゼンチン元代表のテベス選手(引退して今は国内リーグの監督)は、少年時代サッカーシューズが買えず、裸足でボールを蹴っていた。裸足なので、破傷風にならないようにガラスの破片を避けることにも気をつけながら、いつも練習したのだ。
素足の肌感覚でボールと馴染んできたとは言えるのだが、、。
これは、以前、私が読んだ実話で、強烈な印象が残ったため、以後、“テベス” と聞けば「裸足」「破傷風」「ガラスの破片」という3つの単語がいつも思い浮かんでいる。その話には続きがあり、貧しい地区の子ども達は、10代の頃にサッカーのスカウトの目に留まらなければ、その後は、麻薬の売人にスカウトされていくとも書いてあったのが恐ろしかった。
貧困で有名なファベーラ地区(ブラジル)など、南米や世界の他地域には似たような所が沢山あると聞く。
家では、息子達は学校のクラブやサークルで何かとサッカーに関わってきたが、その度に、ヤレ、シューズだのお揃いのシャツだのと揃えてあげたものだ。
日本の場合は貧富に関わらず、赤ちゃんの時に皆、混合ワクチンで破傷風対策はしているし、サッカーをする時は、何かとお道具は一応揃えてもらえる子が大半だと思う。
大局的にこの環境はやはり幸せなことで、いくら肌感覚が研ぎ澄まされると言っても、テベスのような練習を見倣えとは、決して言わない。
ただし、W杯に集う選手の中には、そのような苛酷な環境でサッカーをモノにしてきた選手も少なからずいるのだということは、知っておいた方がいい。
縁あって政情不安定な国やその時期に生まれ、国難をくぐり抜けてきた選手もいる。
ドログバ然り、モドリッチ然り。
FKやPKで対峙した時、あるいはプレー中に感じさせる彼らの圧倒的な貫禄や威圧感は、経てきた人生の苦労や克服で身についてきたものだ。
W杯で一同に会した時、サッカーの才能や技術以前のところで、まず気圧(けお)されることのないように!
4年に一度のサッカーの祭典では、選手達には「心してかかれ」と声援を届けたい。
もちろん、比較的いい環境で、スクスクと実力を伸ばせてきた人も世界には多くいるのだから、個々人の与えられた環境をフルに活用して、頑張って欲しいとは思う♡