ルパン三世 & something

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「常識」って? イライザの父  from 映画「マイ・フェア・レディー」

中学生の頃、学校の映画鑑賞会で皆でこの映画を見に行った。その時は、その歳の女子らしく、ロンドンの下町の花売り娘・ヒロイン、イライザのシンデレラストーリーをただただ追って見たものだが、大人になってあらためてこの映画を見ると、ヒロインの周辺、特にイライザの父の描かれ方に特に注目することとなった。


英国の劇作家、バーナード・ショーの「ピグマリオン」が原作のこの映画では、この父親にショーの思うところを何かと語らせているのだ。


この父親が娘イライザや周囲の人にせびったお金は、主に飲み代に消えていく。実際こんな父だと堪らないが、その分(?)この父子は子離れ、親離れが早いw 一方の上流階級の言語学者ヒギンズ教授は、相当なマザコンだ! ショーは、何気にこういう対比を仕込んでいる。

本作で、このチャーミングな父親を演じた役者は、ブロードウェイで既に当たり役だったところを映画でも採用されたベテラン。歌や踊りが軽やかで、味があって表情豊か、彼の場面を何度もリピートして見たほどだ!


この映画で最も印象的なところは、、
ヒギンズ教授が、厚かましい要求をするこの父に、
「常識は無いのか?」と、呆れてなじると、
「常識なんざ、中流階級以上のものサ。俺たちにゃ関係ない」
と、言い放つ!

学生時代サブゼミで、当時流行ったある本を元に、「一億総中流意識」について話し合ったことがある。個々の家計の実態はいざ知らず、当時の大方の人はそんな気分なのだというのだ。私は、そんなムードの最中にいて、「常識」なるものは、文字通り、国民の当然の共通認識だということを疑わなかった。

なので、時代や国は違うものの、イライザの父のこのセリフには目を見張ったのだ。なるほど、彼が歌い踊る「運がよけりゃ」という名曲の、「子供が金持ちになれば、こっちが養ってもらえるのサ サア、運が向いてきたぞ!」と無邪気にはしゃぐ心境に、彼の中では何ら矛盾がないことになるんだね。


だが、理屈屋ヒギンズ教授と対等に議論で渡り合うこの父をヒギンズは見込んで、自分が捌ききれない講演依頼案件の一つを、この父に回す。
元々、話術が巧みでチャーミングなところのあるこの父は、その後本人に依頼が増えてリッチになり、見事、中流階級の仲間入りに!

だが彼は、「常識人」らしく、身を固めることを事実上のカミさんから迫られ、「(彼曰く) 結婚という墓場」行きとなるのだった!そして、映画では、式を挙げに「時間通りに教会へ (Get me to the church on time)」という名ナンバーに続くのだ。on time なんて概念、前は無かったのにねw

かと言って彼は、一旦お金を掴むと、今更元の階級には戻れない と言って、自己矛盾に嘆くのだった!この辺、ショー、上手いよね。


彼は、幸か不幸か「常識」という「クビキ」に繋がれてしまった後の人生を、きっと、めでたさも中位なりおらが春 的な気持ちで送ったことだろうw
でも、心配ないね。陽気な彼のことだから、その中でも上手に幸せを見つけ、それなりに上手に楽しんで生きたに違いない♡